2012年1月~ 12月 of 門脇 仁 オフィシャルサイト

2012.12.27 「持続可能エネルギー国際年」の終わりに

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 大震災の明くる年が、あわただしく暮れようとしています。
 この復興期をチャンスとし、持続可能な産業・文化・ライフスタイルに支えられた成熟社会へと転換すること。それがいまも私たち日本人に与えられている課題です。成熟社会を一言でいえば、量の拡大から質の充実へと、価値のパラダイムシフトを遂げた社会のことです。
 しかし政治経済の混迷が続く中、崩壊した成長神話と安全神話に代わるものがまだ見えていません。「成長」の反意語は「成熟」ではなく、むしろデフレ不況を背景とする「縮小」にすり変わってしまったという観も拭えません。
 また海外を見れば、エネルギー資源の「安全保障」という暗黙の前提が、国際協調よりもむしろ国際緊張を生んでしまっているという現実も否定できません。
 そこで、「持続可能エネルギー国際年」の終わりを目前に、私は来年以降も、各国が持続可能なエネルギーの発展に向けた協調を継続していく必要性を感じます。エネルギーは、もはやかつてのような「成長の原動力」あるいは「万能薬」(silver vallet)ではありません。環境・経済・人口といった地球規模の課題を包括的にとらえるための糸口であり、持続可能な社会を実現するための最優先課題のひとつです。
 まずは信じることから。何事も具体的なイメージをもつところからスタートです。現在の閉塞的な状況を脱し、21世紀社会の新たな展望を開くためにも、持続可能なエネルギーが私たちに物心両面の活力をもたらすというビジョンを抱きましょう。私も来年以降、著述活動や講義・講演活動において、このテーマにもっとアプローチしていく予定です。
 本年もお世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます。


 写真:Saint-Germain-en-Laye, Île-de-France, 1996

2012.11.1 パリ国際研修語学指導

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 パリとボーヌへ10日間の国際研修に行く学生たち。先日はかれらに「旅行フランス語」を教えて来ました。バイオテクノロジーの専門学校で、1日がかりの集中講座です。
 研修参加者にとって、パリは一生に一度の体験になるかも知れません。ならば語学指導も一生記憶に残るものに! そう思い、電子紙芝居、シミュレーション会話、セキュリティ対策10のポイント、詩とシャンソンと映像でめぐるパリなど、ふんだんに素材を盛り込みました。
 ふつうは数か月かかる内容を一日でダイジェストするため、すこし粗けずりな授業にならざるを得ませんでしたが、どうにか盛り上げることができ、拍手のなかで講義を終えました。 職員の方も参加し、「学生たちのいつにない目の輝きを見ました」と言ってくださったので、まずはひと安心。来年はさらに内容を充実させたいと思っています。
 写真は授業で使ったカフェ・ド・クリニャンクールのメニュー(右)と、何冊目かのプラン・ド・パリ(左)。カフェのメニューは昔、パリで最後に住んだオルナノ通りのステュディオを引き上げるとき、スヴニールとしてもらいました。

2012.10.23 ナショジオ誌「フォトコンテスト2012」から

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 ベルギーとルクセンブルクを列車で旅したときのこと。
 右の車窓を見ると、遠くに虹の片足が。「何っ?」と思って左の車窓を見れば、遠くにもう一方の足も。
 「ということはこの列車、虹をくぐってる?」 
 うしろから見たら、さぞかしメルヘンだろうなあと思いました。
 さて、この写真はナショナル・ジオグラフィック誌の「フォトコンテスト2012」から。まさにあのとき列車のうしろから見たかった光景に出会ったようで、とても感慨深かったです。
 タイトルは“Rainbow over Track”ですが、トレインとレインボーを掛けて“Trainbow”でもいいんじゃないかな。私の見たトレインボーは真冬でしたが、ここには黄色く色づく早春の野と、赤い貨物列車が見えています。ちょっとした縁起ものですね。

 写真:Jackie Mitchell

2012.9.1 後期スケジュール

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 年度末までの私の予定は下記の通りです。
 まず懸案の著書『エコカルチャー読本』(仮題)を入稿。それから講義の仕事がほぼ毎日。東京理科大で「環境2―環境と文化」、インターナショナル・スクールオブビジネスで「英語総合」「生物学」、東京バイオテクノロジー専門学校で「香粧品学」「海外研修フランス語」、ヒューマンアカデミー東京校で「英語」です。
 後期も著述・講師業を軸として、皆様のご協力に支えられつつ、ガンガン行きたいと思います。

2012.8.22 シリア内戦で日本人ジャーナリスト死亡

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 シリア内戦で亡くなったフリージャーナリストの山本美香さんに、謹んで哀悼の意を捧げます。

 Believed it favorable for others
 To busy myself around the world
 Got somehow real sympathy
 Only to find it shattered too easily

 Couldn’t afford to enjoy spring
 Couldn’t afford to come through summer
 Can’t do anything but wear dead leaves of autumn
 Can’t do anything but expose my bones in winter

 Today, everything would end
 Today, everything could change
 Today, everything should pay
 Today, everything might start

 Lyrics: Shigeru Izumiya “Four Seasons”
 Translated by Hitoshi Kadowaki

 人のために良かれと思い
 西から東へかけずり廻る
 やっと見つけたやさしさは
 いともたやすく萎びた

 春をながめる余裕もなく
 夏を乗り切る力もなく
 秋の枯葉に身をつつみ
 冬に骨身をさらけだす

 今日ですべてが終わるさ
 今日ですべてが変わる
 今日ですべてが報われる
 今日ですべてが始まるさ
 (泉谷しげる「春夏秋冬」より)

 写真:ジャパンプレス

2012.7.1 ハクセキレイ

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 私の自宅から最寄りのJR飯田橋駅ー市ヶ谷駅間を結ぶ桜並木は、外堀に沿ったロケーションも手伝って、都心としてはなかなか見事なビオトープとなっています。この夏は、池や沼地にしか生息しないコシアキトンボがたくさん見られます。野鳥でよく見かけるのは、ハクセキレイ(写真)やセグロセキレイ。やはり水辺の周辺に住む生き物です。草花ではヤブカンゾウというオレンジ色のユリが夏の定番です。

2012.6.20 リオ+20

Freedom to pollute.jpg「リオ+20」が開催されているリオデジャネイロでの街頭デモ。自由の女神の衣装にも、女神のかかえる聖書にも、「汚染する自由」とシニカルなメッセージが書いてあります。地球環境問題について、アメリカをはじめ先進国の責任を追及するこのような光景も、20年前を思い起こさせます。 (Photo:Wikimedia Commons)
 今日からブラジルのリオ・デ・ジャネイロで、地球サミット後20年目の節目となる“Rio+20 Earth Summit 2012”が開催されます。
 昨日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に、ノルウェーのブルントラント女史がこの会議の論点について寄稿していました。
 「重鎮らしいオーソドックスな書き出しだな」と思いながら読んでいると、オーソドックスな話のまま終わってしまいました。
 要は「このままでは人類の活動によってシステムとしての地球が破綻する。いまこそ真のリーダーシップの結集を」というお定まりのもの。「持続可能な開発」を初めて提唱した25年前の「ブルントラント報告書」から一歩も前進していないことに愕然とします。
 もちろん前進していないのはブルントラント女史ではなく、彼女に一生変わりばえのしない気休めをいわせている国際政治の方。とりわけ南北間の意見調整は日本の大きな役割のひとつでもあったのに、リオはおろか京都議定書でも、さらにポスト京都でもそれは実現しませんでした。ブルントラント委員会の日本代表だった故・大来佐武朗氏が生きていたら、何とおっしゃるだろうと残念でなりません。
 金融危機の影響で環境保全をめぐる国際議論が後退し、低迷を続ける中、せめて“Rio+20”が膨大な紙と電力を消費する国際フェスティバルにだけは終わらぬよう、ウォッチしたいところです。

2012.6.5 「ガレと北海」をアップ

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 フランスのガラス工芸家エミール・ガレとアールヌーボーに影響を与えた日本人、高島北海。ジャポニスム全盛の19世紀末フランスにあって、北海が一貫して伝えようとした日本文化の精神は「もののあわれ」でした。ガレはそれをどのように吸収し、新しい作品へと昇華させたか――。東西の自然観の違いにも注目しながら、新レビュー「ガレと北海」をアップしました。

2012.5.10 コンパクトシティ

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 都市のスプロール化現象で、コンパクトシティが見直されています。
 この写真はわが家の近所の飯田橋プラーノ。小さく見える人影がぶらさげているのは、長ネギの入った買い物袋。左手奥にはベーカリーが、その先にはスーパーがあります。最近、こういう光景を目にすることが増えてきました。高層ビルの谷間に見られる、職住接近のライフスタイル。
 というわけで、今日の法政大学2年ゼミ「環境と文化」の授業では、都市型居住環境のサステナビリティについて話しました。

2012.5.7 フランスに新大統領

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 フランスに新大統領誕生。オランド氏に私が期待するのは、ドイツとの協調でEUの持続可能な環境・エネルギー政策を主導すること。また国内では、少なくともサルコジ政権の「環境グルネル」を上回る成果を挙げてほしいと思います。
この絵は18世紀の画家Johannes Bosboomが描いたノルマンディーの古都ルーアン。オランド氏の出生地でもあります。

2012.4.25 世界の留学生とともに

ISB建物.JPGInternational School of Businesse
 毎年、世界から日本に集まるたくさんの留学生たち。今年は特に国籍が多様化し、東ヨーロッパや西アフリカからの学生も増えています。
 私がビジネススクールで火曜と金曜に英語を教えているのは最上級クラスで、ロシア語とドイツ語を話すウクライナの学生や、ネパールでマスターコースを終えた学生などキレ者ぞろい。5月からは語学に加えて、生物の講義も担当します。
 彼らの荒削りな生命力と知的情熱をすこしでも多く共有し、この国の素晴らしい文化と思い出を母国に持ち帰ってもらえたら...そんな思いで日々接しています。

2012.4.12 今年も法政大ゼミがスタート

Boisoade Tower.JPG法政大学ボアソナードタワー
 今週から大学・専門学校の授業が始まりました。
今日はまず、法政大学キャリアデザイン学部での講義。私はここで「環境と文化」という基礎演習(2学年ゼミ)を担当しています。今年の履修希望者は、昨年の3倍以上に増えました。
 履修希望届けを見るかぎり、今年も多彩をきわめる学生たち。5月に予定している彼らの発表やディスカッションも楽しみです。

2012.3.22 Wake up! It's spring!

karugamo.jpg(写真:Juste Ciel Carineke)
 ようやく春めいてきました。これはワーテルローに住む友人からシェアさせてもらった写真。見出しにも本人のつけたタイトルをそのまま使いました。足の水かきを見るとカモの雛のようですね。一生に50万キロ近くも空を翔けるヒーローが、デビューで見せたガッツポーズといったところ。
 私の好きな言葉「エラン・ヴィタル」(élan vital:生の跳躍)を感じさせる1枚です。

2012.3.10 「環境学ガイド」のメンバーに

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 FACEBOOKで東大の安井至先生(写真)が運営されている「環境学ガイド」というグループに門脇が加入しました。安井先生といえば、かつて国連大学でのシンポジウムをよく聴かせていただいたものです。このグループは、安井先生のウェブサイト「市民のための環境学ガイド」の読者を中心に構成されたもので、環境問題に関するさまざまな意見交換をおこなっています。所属メンバーも環境のプロが多く、とても有意義な交流の場となりそうです。LinkIcon市民のための環境学ガイド

2012.2.12 風を生きる人


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 友人で女優の新井晴みさん(写真)についてのエッセー「風へのオード」を本サイトのEssay欄にアップしました。新井さんは77~78年にNHK連続テレビ小説「風見鶏」でヒロインを演じて以来、女優・エッセイスト・画家・産業カウンセラーとして多才な活動を続けて来ました。「風はさまざまな自然現象に役どころを得て、人の心を揺さぶる名優である」という文中の言葉は、これまで新井さんが生きてきた「風」に触発された表現です。ぜひご一読ください。LinkIcon風へのオード

2012.1.25 「香りと匂いの環境学」を講義

 東京バイオテクノロジー専門学校で「香りと匂いの環境学」というお話をしました。同校で「香粧品学」の授業を担当している友人・宮田真理子講師に招いていただき、ゲスト講師としておこなった3時間のレクチャーです。香り環境は、いま世界的に注目されている分野のひとつ。国内では臭気判定士のニーズも高まっています。講義では、まずヒバの木材チップを使い、テルペン類を主成分とする森林環境を学生に体験してもらうことから始め、良い香りと悪い臭いの差を決定する要素や、環境フレグランス、Musée du Parfum(Paris)の取り組み、香粧品企業の環境配慮、化学物質のリスク、悪臭防止法、国際協力による悪臭公害対策などについて話しました。香りや匂いについて学生から興味深い経験も聞くことができ、私にとってもたいへん有意義でした。